運動を日常的に行っている方は、体内の活性酸素による酸化を防ぐために抗酸化物質を積極的に摂られているかもしれません。
中でもビタミンEは、多くの食物に含まれており摂取しやすい抗酸化物質です。
しかし、このビタミンEを摂取することが、あなたの運動機能を低下させているとしたらどうしますか?
この記事では、2種類のビタミンEによって肺の機能が上昇、低下するという研究を紹介します。
ビタミンEのわずかな構造の違いは呼吸器に反対の影響を与える
アメリカのNorthwestern University のJoan Cook-Mills 准教授らのグループは、ビタミンE(トコフェノール)の血中濃度と肺活量の関係を調べるため、4526人を調査しました。
血液中のビタミンEの量は0歳、7歳、15歳の時に、肺活量は0歳、2歳、5歳、10歳、20歳の時に測定しました。
その結果、2種類の構造のわずかに違うビタミンEの血中濃度によって、最大肺活量が強化、もしくは減少していることが分かったのです。
γトコフェノールは避けなければならない
2種類のビタミンEとは、αトコフェノールとγトコフェノールです。
αトコフェノールが血液中に多い場合は、努力肺活量(FCV)と1秒率(FEV1)も多かったのに対して、γトコフェノールが多い場合には、肺活量が10~17%も少なくなっていました。
この症状は血中のγトコフェノール量が10マイクロモルを超えていると現れています。
その影響は20歳時点で収まらず、なんと55歳まで継続していました。
Cook-Mills 准教授は、「この調査から米国全人口の14%にあたる450万人が、このγトコフェノールの影響を受けていると考えられます。」と述べています。
では、どうやってγトコフェノールを避けてαトコフェノールを摂ればいいのでしょうか。
ビタミンEの多い食品
ビタミンEの多い食べ物として「油」があります。
しかし油の種類によって含まれているトコフェノールが異なるため注意が必要です。
αトコフェノールの多いもの
オリーブオイル、小麦胚芽油、紅花油、アーモンド油、ヒマワリ油
γトコフェノールの多いもの
コーン油、キャノーラ油、大豆油
Cook-Mills 准教授は、「トコフェノールは食材やサプリメントから容易に摂取することができますが、日常使う油やサプリメントに入っているものの影響に注意しなければなりません。」とも述べています。
まとめ
この記事では、γトコフェノールを摂取量を超えて摂ってしまうことで肺活量が少なくなり、その影響が長期にわたって続くことを発見した研究を紹介しました。
特に運動をされる方にとっては肺活量の無意味な減少は避けなければなりません。
体を動かす速さやスタミナ、疲労に影響する肺のガス交換機能を低下させないためにも、ビタミンEの種類に注意しましょう。