炭水化物をとらずに多量の脂質を栄養源にする炭水化物抜きダイエット(ケトン式、アトキンス式)は、短期間で体重を落とすためには効果的なダイエット方法です。
ただし糖質を極端に制限するこの食事療法は、人間の根本的な欲求である食欲を抑えなければならないため、長期間続けることは難しいです。
しかし数日間や長くても1周間といった短い時間での断食(ファスティング)に近い、この炭水化物抜きダイエットの減量効果は高いため、挑戦された方も多いと思います。
その炭水化物を極端に制限する食生活が、体重を減らすだけではなく、脳の老化を遅らせるという効果があるとしたらどうしますか?
この記事では、炭水化物を抜いた食事が、カロリー制限や抗酸化物質の摂取よりも、老化を遅らせる効果が高かったとする研究を紹介します。
治療方法のない早老症のための食事療法とは
普通の人よりも早く、急激に老化が進行する早老症と呼ばれる病気があります。
この病気が発生するメカニズムとしては、様々なストレスによって傷ついた遺伝子を修復する細胞の機能がうまく働かないために、劣化した細胞が処分されてしまい、体を形成している細胞が不足していくために起こると考えられています。
遺伝的な要因で発症するこの難病には、未だ治療方法が見つかってはいません。
そのため日々の食生活を変えることで少しでも老いを遅らせられないかという研究が試されています。
糖質を脂質に変えた食事には老化を予防する効果がある
アメリカの国立老化研究所(National Institute on Aging)のVilhelm A. Bohr博士らは、この老化の進行を止める効果を検討するため、3種類の食事療法を試しました。
1.体のエネルギー源を脂質にして代謝方式を変えさせる炭水化物抜きダイエット
2.寿命を伸ばす効果があるとされているカロリー制限ダイエット
3.酸化ストレスを予防する抗酸化物質レスベラトロールサプリメント
この3つの食事療法を早老症のマウスに食べさせたところ、糖質をカットした食事に、老化を遅らせる効果があることがわかりました。
研究者らは多量に摂取した中鎖脂肪酸(ココナッツオイルなどに多く含まれる)の加齢防止効果が働いたのではないかと考えています。
また糖質を制限して脂質を栄養源として使うように代謝方式が変わることで、脳のエネルギー利用方式も脂質が優位となり、脳のダメージを癒す作用も期待できます。
この脳の傷を回復する効果によって、アルツハイマーや認知症に炭水化物抜きの食事が良い影響を与えるのだと予想されます。
まとめ
この記事では、炭水化物抜きダイエットに老化を防止する効果があるという研究を紹介しました。
この老化予防は脳神経にも良いため、認知機能の低下を防ぐ効果が期待されます。
長期間の糖質カットは精神的にも過大なストレスとなる危険性があるため、炭水化物を抜く期間は最長でも1週間程度に止めたほうが良いでしょう。
加齢を予防して若さを取り戻す効果もある糖質制限ダイエットを試されてみてはいかがでしょうか。
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