ゼロカロリーやカロリーオフの飲み物が体に悪いことをご存知ですか?
ノンカロリーや低カロリーをうたった清涼飲料水や菓子などの加工食品には砂糖の代わりに人工甘味料が使われています。
人工甘味料は砂糖と同じ重さで、数倍から数万倍の甘さを感じさせる糖とは異なる化合物です。
人工甘味料は砂糖のようにヒトが消化吸収できないため血糖値が上がらない、そのため糖尿病の患者さんにも良いとされてきました。
しかし具体的に人工甘味料がヒトの体にどのような影響を与えるのかについては、まだ不明確な点が多いのです。
この記事では、人工甘味料が腸内細菌バランスを変化させて糖質の消化吸収能力(耐糖能)を異常にするとする研究を紹介します。
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Reference:Suez J., et al., Nature. 2014. Artificial sweeteners induce glucose intolerance by altering the gut microbiota.
人工甘味料は食後の血糖値を上昇させてしまう
乳酸菌に代表される腸内の善玉細菌が、ヒトの食事の消化吸収に関係していることは広く知られています。
人工甘味料はヒトが消化できないため血糖値に影響しないとされていますが、腸内細菌は分解できる可能性がありました。
イスラエルのワインツマン科学研究所(Weizmann Institute of Science)のEran Elinav教授らは、人工甘味料の摂取が耐糖能に与える影響について調査を行いました。
教授らは、米国食品医薬品局(FDA)が定めた1日の最大摂取量のアスパルテーム、スクラロース、サッカリンをそれぞれ水に溶かしてマウスに与えました。
11週後、どの人工甘味料を飲んでいたマウスも食後の血糖値が高くなっていることが確認され、特にサッカリンの影響が最も高いことがわかりました。
また高脂肪な食事と少量のサッカリンを食べていても、人工甘味料を飲んでいないマウスと比べて、食後血糖値が高くなっていました。
これは、なぜなのでしょうか。
人工甘味料は腸内の微生物によって分解吸収されている
教授らは人工甘味料が腸内細菌に作用して、食事の消化吸収に影響したのではないかと考えました。
そこで腸内細菌叢を調べたところ、人工甘味料を飲むと腸内細菌の種類が変化して、肥満患者や糖尿病患者と同じ細菌が増えることがわかったのです。
さらに、この増えた腸内細菌を抗菌薬によって殺したところ、サッカリンを飲み続けていても耐糖能が正常に戻ったのです。
このことから、人工甘味料が腸内の微生物に何らかの影響を起こし、インスリン分泌や血糖コントロールを悪化させていることが判明しました。
人工甘味料はヒトの耐糖能を容易に破壊する
さらに教授らは、ヒトでの人工甘味料の影響を調査しました。
381人の健康人のデータを分析したところ、人工甘味料を含むジュースや菓子を習慣的に摂っていた場合、糖質を大量に摂ると耐糖能が容易に悪化することがわかりました。
さらに7人の健常人にFDAが定めた1日の最大摂取量のサッカリンを1週間飲んでもらったところ、4人の耐糖能に異常が見られたのです。
このことから教授らは人工甘味料の摂取が糖の消化吸収に悪影響を与えていると報告しています。
まとめ
この記事では、ノンカロリーな人工甘味料が腸内細菌を乱して代謝を異常にするという研究を紹介しました。
人工甘味料を使った飲み物は数多く、血糖値のコントロールが必要な患者さんにも勧められています。
しかし人工甘味料が間接的に耐糖能を悪化させる可能性が示唆されました。
カロリーゼロやカロリーオフで太らないからとガブ飲みして、過剰な量の人工甘味料を摂取することは避けたほうが良いでしょう。
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