運動は体内に蓄えられている脂肪を燃焼させて、カロリーとして消費する効果があります。
ダイエットのためには様々な運動がありますが、なかでもジョギングやランニングなど走るスポーツは、手軽に始められることもあって人気の高いジャンルでもあります。
では丸1日(24時間)走り続けると、何キログラム体重が落ちて、体にどんな影響が現れるのでしょうか。
走る距離や時間が延びるほど必要とするエネルギー量が増えるため、可能な限り長い時間走り続けたほうが、痩せやすいと思われるかもしれません。
この記事では、24時間走る超耐久競技選手の体を調査し、体重と体質の変化を調べた研究を紹介します。
photo credit: 2014 IMT Des Moines Marathon via photopin (license)
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Gill SK., et al., Int J Sports Med. 2015. The Impact of a 24-h Ultra-Marathon on Circulatory Endotoxin and Cytokine Profile.
24時間で208キロメートル走ると体重が3.5%減少する
近年、トライアスロンやトレイルランニングなど、通常のマラソンと比較して運動強度や筋肉への負荷の高いスポーツが流行しています。
これらの競技の参加者の中には、十分な練習をしていないにもかかわらず、ぶっつけ本番で挑戦してしまう人もいます。
オーストラリアのモナシュ大学(Monash University)のRicardo Costa 博士らは、段階的なトレーニングを行わず、自らの限界を超えたスポーツが、体にどんな悪影響を及ぼすのか調査を行いました。
博士らは、山岳地帯を24時間かけて122~208キロメートルの距離を走破する超耐久競技に参加する、17人のランナーに協力を要請しました。
ランナー達の競技前後の体重を測定したところ、1回の参加で最大体重の3.5%が失われていることがわかりました。
体重60キログラムの人なら、2.1キログラムに相当します。
さらに血液検査の結果から、事前のトレーニングの有無によって、命の危険にもなりうる大きな体質の変化が起こっていることが判明しました。
少ない練習量で長距離を走ると腸が破れて細菌が血液に漏れる
参加者の血液検査をしたところ、血液の中から多量のエンドトキシン(内毒素)が見つかりました。
エンドトキシンとは細菌の体の一部であり、体内に入ると免疫を活性化させます。
少量のエンドトキシンは免疫を強化する作用があり体にとって有益ですが、一定量を超えたエンドトキシンは過剰な免疫反応を引き起こし、体内に炎症を広げます。
最悪のケースでは敗血症と呼ばれる全身の炎症反応によって、適切な治療を受けなければ死に至る危険性があります。
これらのエンドトキシンは、腸内細菌叢由来のものであることがわかりました。
おそらく激しい運動に耐えられる体幹の筋肉ができていないと、内臓が固定できずに揺すられることで、腸の粘膜が破れてしまうのだと考えられます。
正しい練習をこなし、適切な訓練を受けているランナーたちの体では、エンドトキシンの量は少なく、また抗炎症性反応も高まっており、敗血症の危険はなくなっていました。
まとめ
この記事では、24時間走ると体重は3.5%減るけれど、適切なトレーニングをしていないと命の危険もあるとする研究を紹介しました。
このような厳しい競技に挑戦する場合には、医師の専門的な意見をもらうこと、計算された栄養素を摂取し、段階的なトレーニングを行うことが大切です。
無理せず運動の習慣を身に着けることで必ず成果が現れます。
早期の結果を求めずにじっくりとダイエットに取り組むことをおススメします。
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